20211220の日記


 ふと、よしもとばななの小説にある「儀式っていうのは大切なものなんだ。自分を納得させて、区切りをつけるのには最適な方法だと思う」との一節が蘇った。確かにそうだ。古来、人間は洞窟に住みマンモスを狩り火を見つけ必死の形相で生き延びてきたように、オタクもまた、どデカい宇宙感情がビックバンのように爆誕しようものならば泣き叫び狂喜乱舞したくなる思いを抱えて、それを長文ブログに書き殴ることで生き長らえてきたのである。ということで、どうしても140字では足りるわけがない今の気持ちを、人類の歴史を重んじてここに記していきたいと思う。



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 中国を出発したという風の噂は聞いていたけれど、いざ今日のTLに祝福の花束のようにジュンとミンハオへのぬくもり溢れたツイートたちを見ていたら、段々どうしようもなくなって脚からヘナヘナと力が抜けてしまった。帰ってきて3分後のことである。フローリングは無機質に冷たかったけれど、胃の底からこみ上げてくるのは熱くほとばしるパトス。助けてくれ〜!このままだと神話になってしまう


 それこそ暇さえあればweiboblibliで推しの姿は見ていたし、流れてくる動画や画像に雄叫びを上げながら七転八倒したり、火花が散っていく速度でスクロールしたり、とうとうアパートから出禁命令が出たり、初めての大陸雑誌に脳死で金を払ったりとにかく毎日のように推しを追いかけていたのに今日の韓国入りはそれ以上の"安心感"が全身からホロホロと零れ落ちていく感覚だったのだ。結局のところ、どれだけ体裁を保とうとも「だけどやっぱ いざとなると帰したくない」というシンデレラガール永瀬廉状態だったことを身をもって痛感する。



 そして愛がこぼれ落ちますの感情スプラッシュマウンテンにも関わらず、私の心臓を愛しさと共に襲ったのは灼熱の"痛み"だった。「推しがやっと韓国の活動を再開するってのに?!贅沢言うな!」とトマトを投げられても仕方がない。ところがどっこい何を隠そう、自分が一番驚いている。それに免じてトマトを握ったその手を降ろして、まずは私の話を聞いてほしい。地球が誕生する46億年前より、オタクというものは推しに歌って踊って生きる煌めきを永遠にその笑顔に讃えていてほしいと願っている生き物であり、同時に、すこしでも優しい世界で過ごしていてほしいし家族や友人に囲まれててほしいし口座に常に8億円振り込まれてほしいし生きているだけでいいし何なら呼吸しててるだけでえらいし……ヴッ"……(躁鬱)という感情大爆発スペシャル強欲特盛丼でもあるのだ。とにかくいろんな感情が渦巻いていて、自分と自分の板挟みになってるよォン!!(M-1のオズワルド?)



 しかしながら、オタクは推しの言葉ひとつでクル〜ッと手のひら返しをするチョロチョロ生命体でもあるのだ😄‼️



 昨日、中国の活動について「温かさと優しさを感じた」というweiboを読んで眼球からドバドバ滝涙が出たけど、次の「この気持ちを全て表現するのは難しい」って言葉に死角から金属バットで殴られたような痛快さがあった。ミンハオの"義理堅さ"に酷くトキメキを覚えてしまうオタクだから、自分の気持ちを過剰包装せずに、何も飾らない素のまま正直で真面目でトッポのチョコみたいに端から端まで誠実なところ、本当に本当に堪らん大好きすぎて、純度の高い「好き」がぶわぁっと広がるようだった。



 あとさァ〜〜〜〜〜!「山は笑っていて、雲は泣いている」という言葉と共に風景写真を載せてくれたミンハオも、スマホ越しに彼の体温を感じることができたみたいでメチャクチャ嬉しかったんだよね………(酔っ払いか?)  



人の感情はひとつだけじゃないし、時には真反対の感情がぶつかり合うように存在してるワケで、「山は笑っていて、雲は泣いている」という投稿は徐明浩という人間の血がしっかり通った、生きている魂の鼓動が聞こえてくるようで、気づけば心の襟を両手で静かに正していた。あなたの生きてきた道が愛おしくて、四半世紀の確かな重みが愛おしくて、そっとスマホを抱きしめた夜だった。




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 「おかえり」があれば「いってらっしゃい」もある。それは、数ヶ月前に私が身に染みた最高密度の痛みの感覚だった。そして、遠く離れた「いってらっしゃい」の世界で過ごしていたあなたの温度や湿度を、私は「おかえり」と口にする前に知ってしまったのだ。けれども、私は絶対に""がいい。帰省が発表された瞬間は脳味噌を打ち砕かれたようなショックがあって、11人の彼らを見ては寂しさをなぞっていた日もあった。けれども、それと同じくらいここ数ヶ月の帰省期間は彼の人の血が通った愛の源泉をたくさん見れて、あったかい気持ちで満たされていて、ずっとずっと忘れたくない時間でもあった。今の寂しさも愛しさも嬉しさも形容しがたい熱い感情も、全部、全部、忘れたくない。



 「どんなに大変なことがあってもその感情を忘れたくない」そうやって過去の自分を否定しない、あなたの生き方にいつも痺れては惚れているからこそ、私はこの期間を痛みと共に覚えていたかった。




 そう これは白い雪が降っていた日の""の物語だから______。




20211220/祝祭